「‥前から思っていたんだけど」
「ん?」
「何でこの道通るの?駅に行くなら、そんなに近道でもないよね」
「ん?ああ。‥けどそんな遠くもないだろ」
「まあそうだけど。車通りもないから、楽っちゃ楽なんだけどね」
「‥」
「‥」
「もしかすると」
「ああ、多分あれだな。おじいちゃんがよく通っていたんだ、この道」
「あー。いまそうじゃないかな、と言おうとしてた」
「何でかはわからないけど、ここを通ってたな」
そういうことね。ならば、納得。
なんてことがありました。
親が祖父と通った道を
特に理由もなくただただ通り続け。
それは、意識すらされないまま、
子である私にも受け継がれてた。
些細なことっちゃ些細なこと。でも、
私は父方のおじいちゃんと、直接の面識がない。
今回たまたま話が出なければ、
永遠にわからずじまいだったかも。もちろん
わかったからどうってこともない。
けどいまの私にとって、これが「どうでもいいこと」
かというとけしてそんなことはない。
知ることができてよかったと思います。
この世のことの中で
人が意識できることなんてどれほどあるか。
タイミングもある。
どんな些細なことすらも、けして
一筋縄ではいきませんね。
疎かにも出来ないし、そこだけにこだわってるのも
違う気もするし。
でも、とりあえず今は、親と
こういう話ができる機会、それを持てたこと
だけでも嬉しいかな。
あのN